再就職、転職を考えておられる方は、その前に何か資格を取得し知識を身につけておこうと考える方も多いかと思います。
数ある資格の中でも、簿記は汎用性があり、再就職・転職に有利に働くと言われています。
ただ、中には「簿記なんて持ってても意味ないよ」とか「簿記は難易度が低いから面接する人も度外視だから他の資格を取ったら?」という意見もあります。
【有利】という意見も【別に関係ない】という意見も両方あるため、受験しようか考えている方にとっては「実際どっちやねん!」とツッコミを入れたくなるところでしょう。
そこでこの記事では、実際に日商簿記2級を取得した後、再就職に挑んだ夫婦(何を隠そう管理人とその嫁w)の体験談をお伝えしたいと思います!
これから再就職・転職を考えておられる方に有益な情報も随所にあるかと思いますので、ぜひ読み進めてみて下さい^^
一般企業の経理職に就職した夫の場合
★夫の情報
- 年齢:20代後半(当時)
- 最終学歴:短大卒
- 前職:接客業
- 転職のキッカケ:前職の会社が倒産したため
- 受けた会社の数:1社
- 内定をもらった会社の数:1社
私の場合、転職先を1社に絞り、運が良かったのかその会社でお世話になることができました。
勤めていた会社が倒産してしまったため転職を余儀なくされたわけですが、接客業をずっと好きで続けていた中で、一転畑違いの経理職を目指しました。その理由としては2つ。
ひとつは前職の会社が倒産したということで、自分ももっとお金に関する知識を持っていれば会社が倒産する前に食い止められたのではないかと思い、改めて経理知識の重要性を感じた点。
もうひとつは休みが基本平日しか取れないのが苦痛になってきた点w
やっぱりどうしても何かのイベントや友達と遊ぶという話になっても土日や大型連休の時ばかり。
そんなフル稼働不可避の日に休みなど取れるはずもなく、もう少し自分の時間も大切にしたいという思いがあったためです。
で、ある程度経理の知識をつけた上で面接に挑もうと思い、資格学校に通い日商簿記2級を取得しました。
【経理初心者歓迎】の罠!応募してから気づいた真実
まず、私は一般企業の経理職の募集で、特に簿記資格が必須というわけではなく、【経理初心者歓迎】という会社でした。
経理自体はまったくの初心者でしたが、簿記2級を持っているという点では結構ポイントが高いのではないかとほくそ笑んでいましたw
が、、 面接会場に行ったら自分以外は全員女性。
軽く30人はいたであろう中に男一人で場違い感ハンパない状態でしたw
で、ここで私悟ったわけです。
「あぁ、なるほど。。若い女の子が欲しいから【初心者歓迎】って書いてたんだな。こりゃ簿記持ってようが関係ないわ\(^o^)/オワタ」
よく考えたら募集のWEBページの写真も女性社員ばっかりでしたしw
(※男女差別になるから女性のみの応募とか書けない時代ですからね)
でも、ここで帰るわけにもいかず、半ばあきらめながら筆記試験と面接に挑みました。
【日商簿記2級取得】は効果あり!?筆記試験と面接へ
筆記試験を無事終え、いざ面接へ。(テストは良くもなく悪くもなくの手ごたえ)
面接はグループなどではなく個人面接でした。
面接では、よくあるようなテンプレートの質問から、これまで未経験の経理職に転職しようと思った理由や経理のイメージ等についても聞かれました。
で、肝心の簿記に関しては一切触れられることはなく。。
このままでは一番のアピール要素として持っていた【日商簿記2級取得】ということをアピールできずに終わってしまうと思ったので、「自分の強みはなんですか?」という質問で「履歴書にも書いておりますが、最近日商簿記2級を取得しました。これも勉強を継続してきた結果だと思いますし、何事においても継続するということが自分の強みだと思います!」と無理やりねじ込みましたw
まぁ正直、人当たりは割と良い方だと周りにもよく言われていたので、面接もそれなりに印象は良く終えられたかなと思ったのですが、「自分が男である」という部分で結果的に落とされるんだろうなと思っていたら、、、予想に反して受かりましたw
面接を担当してくれた先輩社員から聞いた本音
実際に入社し、面接を担当してくれた先輩社員とも仲良くなったので、当時の採用の件について話を聞きました。
いやだって、面接に来てた中で男が僕1人だけだったでしょ?
よく考えてみたら求人募集のWEBページの写真も女性社員ばっかり載ってましたし、【初心者歓迎】って書かれてたはやっぱり若い女の子が欲しかったからなのかなと。
あ~、まぁ9割当たりやなw ここだけの話、男は採るつもりはなかった。
というか、そもそも募集自体来ないと思ってたから。
今は募集要項に「女性のみ」とか書けへんし、【初心者歓迎】って書いたり写真を女性だけにして遠回しに「女性対象の募集ですよ」ってアピールするところも多いよ。
ただ、今回は○○君(管理人)から応募が入ってきて、部署内で「お~!男来たで!」って軽く盛り上がってたわけw 年齢的にもまだまだこれからって感じやったし、俺から部長にお願いしたわけ。
あ、僕が空気読まなかったという事ですねw
部長にお願いしてくれたんですか?
そう。本当は女の子1人しか採らない予定やったけど、やっぱり女の子は寿退社とかもあるし、今後の事を考えて男も増やしたいですって。
そしたら、面接してみて良さそうならその男の子も採っていいよって話になったわけ。
へぇ~、そうだったんですね。
じゃあ、先輩が進言してくれてなかったらやっぱり僕は落とされてたんですねw
まぁ確実とまでは言えんけどね。
だって○○君、日商簿記2級取ってたやろ?
あ、ソコ見てくれてたんですかっ!
面接でも全然聞かれなかったんで、そんなのどうでもいいのかと思ってました。
いやいや、仕事やしそりゃちゃんと見てるよw
簿記2級持ってるっていう点でも部長に進言しやすかったし、やっぱり知識としてそこまで持って入社してきてくれたらイチから教えなくてもいいしな。
何も資格ないよりも評価は絶対上がるし、3級じゃないっていうのもポイント高かったな。
そうやな~。今までも日商簿記3級持ってますっていう子を何人か採ったけど、正直実務で活きる知識なのかと言われるとあまり意味なかった印象。
ないよりあった方がいいかなって程度やね。
でも、2級となったらそれなりに覚悟持って勉強しないと取れないし、知識としてももちろん大事やけど、継続力とか向上心とか、そういう意味では人間的に評価を上げるって感じかな!
といった感じで、当初は会社自体が募集はしていたもののあまり採る気がなかったという半ばムリゲーな状態でしたが、元々採用をしたかった男性であったこと、年齢もそんなにいってなかったこと、そして日商簿記2級をもっていたことという3つの要素が絡み合ってなんとかネジ込んでもらったという流れでしたw
まぁ、運も良かったのもありますが、この時ばかりは日商簿記2級を持ってて良かったと感じました^^
税理士事務所に就職した妻の場合
★妻の情報
- 年齢:30代中盤(当時)
- 最終学歴:大卒(国立)
- 前職:製造業
- 転職のキッカケ:工程管理をする中で原価計算などの知識がないと昇進が望めないため
- 受けた会社の数:4社
- 内定をもらった会社の数:1社
私は前職で製造業の工程管理部門で働いていたのですが、日商簿記2級で出てくるような原価計算などの知識がないと昇進が見込めないということで簿記を取ろうと決意しました。
しかし、簿記を勉強していく中で、「何もひとつの会社にこだわることはないし、色々な会社の中身を見てスキルアップしたい」という気持ちが芽生え、多種多様な会社の中身を知ることができ、自身のスキルアップにも繋がる税理士事務所で働きたいと思うようになったのが転職の理由です。
税理士事務所で働くなら日商簿記2級は必須!
税理士事務所で働きたいと思ってから求人情報を色々と見ていましたが、ほとんどのところが【日商簿記2級以上必須】と募集要項に書かれていました。
パートタイマーや準社員であれば日商簿記3級程度の知識でも可というところもありましたが、やはり正社員として税理士事務所で働こうと思うと、日商簿記2級は確実に持っておかないといけないということです。
私は全部で4社の税理士事務所を受けましたが、いずれも【日商簿記2級以上必須】でした。
面接でも簿記2級を持っている前提で、「今後は簿記1級を目指すの?それとも税理士を目指すの?」という質問がいずれの事務所でもありました。
それだけ、簿記2級を持っているというころは最低限のベースラインで、そこからさらに成長する意欲がないとなかなか受からないんだろうなと感じました。
(ちなみに私は税理士になることを目指しますと答えていました)
税理士事務所入社前と入社後に簿記2級が活きたこと
私が受けた税理士事務所はどこも日商簿記2級以上が必須だったので、入社試験で2級の知識に相当するような仕訳の問題が出題されました。
3級ではとても出題されないような内容の問題ばかりだったので、そもそも2級を受かるくらいの知識がないと全く点数が取れずに不合格になっていたと思います。
また、入社後に関しては、自分にそれなりの知識がないと得意先から何か質問があった時に答えられないということになってしまいます。
3級の知識だけでは決算を組むことも難しいですし、それこそ工業簿記が絡んでくるような会社の担当を持った時は本当に2級を取っておいて良かったと思いました。
税理士事務所の職員なのにお客様からの質問に答えられないというのはさすがに恥ずかしいですし、税理士事務所で働くにはやっぱり簿記の知識は必須だなと改めて感じました。
所長の言葉から他社従業員の給料が上がる!
私が勤めていた税理士事務所の所長は、得意先の経理社員に対して常々、「簿記を持ってると良いことがあるよ~」と言っていました。
今は会計ソフトのクオリティも上がってきており、簿記の知識がなくてもある程度は経理業務ができてしまいます。
しかし、そこから自分のスキルを上げる、役職を上げたいという方は簿記の知識は必須です。
簿記の知識があれば仕訳の深い意味も理解できるようになりますし、決算書や財務諸表から様々な情報を読み解けるようになります。
得意先でよく仕事が出来る従業員がいれば、「あの子いいですね~。凄く理解が深いですよ!」とその会社の社長に言って、その方が後に給料が上がった、昇進したという話を何度か聞きました。
偶然かもしれませんが、税理士事務所の所長がそうやってイチオシしてくれることで、そういう結果に繋がった部分も少なからずあったと思います。
所長がそうやってイチオシする方はみなさん簿記資格を持っていましたし、そういう意味でも所長は「簿記を持ってると良いことがある」と得意先の社員さんに言っていたのかなとも思います。
私たち税理士事務所の社員は、簿記なんて持っていて当たり前。むしろ持っていないなんてあり得ないという感じでしたので、お給料も据え置きでしたけどね(笑)
まとめ
ここまで、管理人夫婦の体験談をご紹介してきました。
まぁ結論から言うと、「日商簿記3級はそれほど再就職の強みにはならないが、2級は大いに強みとして考えてよい」ということが言えるのではないでしょうか。
特に、管理人の妻のように税理士事務所で働きたいと思われている方は簿記2級は最低ラインと考えておくべきです。
とはいえ、3級も全く意味がないわけではなく、初めて経理職を目指す方の第一歩としてはあるとないでは結構差が出てくると思いますので、働き始めのスタートダッシュを切れるという点ではなかなか有効だと思います。
(※実際管理人も同期入社した女の子よりも早めに色々な事を任せてもらえるようになりました)
今回は私たち管理人夫婦の実体験としてお話をしましたので、全ての方にとって日商簿記が再就職・転職に有利に働くというわけではないかと思います。
しかし、ちまたで言われているような「簿記なんて就職・転職に全く意味がない」というのは大きな勘違いで、その情報を鵜呑みにしてしまいチャンスを逃している方もいるかと思います。
日商簿記は再就職や転職に有利に働く確率が高いという事で、これから勉強を始めるという方もモチベーションが上がるのではないでしょうか^^