これから日商簿記検定を受験しようと考えておられる方は、受験する級の中でどんな問題が出てくるのか気になるところだと思います。
どんな資格試験でもそうですが、簿記検定も比較的点が取りやすい簡単な問題と点数を落とす受験者が続出するような難問まで、幅広く出題されます。
そこでこの記事では、簿記検定各級における簡単な問題と難しい問題を解説していきます。
多少は管理人の主観も入っていますが、多くの方は私と同じような意見になるのではないかと思いますので、試験対策に是非役立ててください!
日商簿記検定3級の中で簡単な問題/難しい問題
まずは、日商簿記3級の試験出題範囲を整理しておきましょう。
問題 | 内容 | 配点 |
第1問 | 仕訳問題 | 20点 |
第2・4問 | 勘定記入・伝票記入・帳簿記入等 | 各8~12点 |
第3問 | 試算表作成問題 | 28~32点 |
第5問 | 精算表・財務諸表作成問題 | 28~32点 |
この中で簡単な問題、難しい問題は以下のようになります。
- 仕訳問題
- 試算表作成問題
- 精算表・財務諸表作成問題
まず、3級合格に向けて絶対に落とせないのは第1問で必ず5問出題される「仕訳問題」です。
この仕訳問題は難易度的にはかなり簡単ですし、どういった問題がどの勘定科目に当てはまるのかさえ覚えておけば大体解ける問題になります。
ただ、毎回の傾向として5問中1問~2問は引っかけのような問題も出てきます。
例えばこんな問題。
収入印紙7,000円を購入し、代金は現金で支払った。なお、この収入印紙はただちに使用した。
※答え※
租税公課 7,000 / 現金 7,000
こんな単純な仕訳なのですが、後半部分の「なお、この収入印紙はただちに使用した。」という部分が「え?他に何かしないといけないのか?」という不安感を誘発するという、運転免許の試験のような姑息なことをしてくるわけですw
仕訳問題は数学(算数)というよりも国語に近いので、問題文が何を求めて書かれているかを明確に理解することが大切です。
まぁ、仕訳に関しては数をこなせば慣れてきますので、どんどん演習問題を解いていきましょう。
あと、第3問で出題される「試算表作成問題」も得点を確実に加算しておきたい簡単な問題です。
試算表作成問題はボリュームこそ多いものの、そこまで複雑な事を問われることはなく、落ち着いてひとつひとつ解いていけば満点を狙える問題になります。
これも仕訳問題と同じく国語の読解力が必要になってきますので、演習問題を何度も解いて出題パターンに慣れれば全く怖くありません。
3級の難易度自体が結構易しいので、全体通してそこまで難しい問題は出てきませんが、気をつけておきたいのは第5問です。
ここでは「精算表・財務諸表の作成問題」が出題されるのですが、前払いや未払い処理をする決算整理は少々ややこしい出題の仕方もされますので、問題文をしっかり読んで解くようにしましょう。
日商簿記検定2級の中で簡単な問題/難しい問題
では、日商簿記2級の試験出題範囲を整理しておきましょう。
問題 | 内容 | 配点 |
第1問 | 仕訳問題 | 20点 |
第2問 | 個別論点の総合問題 | 20点 |
第3問 | 精算表・財務諸表作成問題 | 20点 |
第4・5問 | 工業簿記問題 | 20点×2 |
この中で簡単な問題、難しい問題は以下のようになります。
- 仕訳問題
- 個別論点の総合問題(銀行勘定調整表/伝票会計 等)
- 個別論点の総合問題(固定資産関係/企業合併関係 等)
- 工業簿記問題
簡単な問題は3級と同じく「仕訳問題」です。
正直、2級になるとレベルが一気に上がるので、仕訳問題で取りこぼすとかなり厳しいです。
3級の時と同じく、1~2問は引っかけのような問題も出てくる傾向にあるので、しっかりと文章を読み解きましょう。
また、第2問の「個別論点の総合問題」も比較的簡単な問題が出題される確率が高いのですが、何の問題が出るかによってかなり難易度が変わります。
銀行勘定調整表や伝票会計問題が出たら超ラッキー、固定資産関係や企業合併関係の問題が出たら結構不運です(苦笑)
銀行勘定調整表や伝票会計の場合は計算する項目も少なく所要時間も少ないですが、固定資産関係や企業合併関係は計算も複雑になるケースが多く時間も要するので、他の問題に充てる時間が減ってしまうのもネックです。
正直、第2問で固定資産関係や企業合併関係の問題が出たら、よほど自分が得意で無い限り後回しにした方が無難だと思いますし、ここで頑張りすぎて工業簿記に充てる時間が丸っきりなくなったら、もう合格するのはほぼ無理ですw
で、2級の最大の敵は「工業簿記全般」です。
色々な論点から出題されるのですが、どの論点もクセが強い問題が多く、事前にどれだけ多くの問題をこなしてきたかが問われます。
出題傾向としては「総合原価計算問題」が出る確率が結構高く、この問題は工業簿記でも比較的易しい方なのでしっかりマスターしておきたいところですね。
減損・工程別などいくつかバリエーションがありますが、根本となる解法は同じなので、後は慣れるだけです!
で、「工業簿記は難しい、工業簿記は難しい」と散々このサイトではお伝えしてきましたが、2016年6月の試験から商業簿記の試験範囲が大幅に改訂されてからというもの、どっちかというと商業簿記の方が正解率が低くなる傾向にあり、難しい問題が出題されることが多くなってきています(^^;
とはいえ、第3問の「精算表・財務諸表問題」に関しては3級で学んだことの応用になるので、基礎がしっかり覚えられていれば大丈夫です。
2級は全般的に学習レベルが上がりますので、どの問題もしっかり数をかなして試験に挑みたいところです。
日商簿記検定1級の中で簡単な問題/難しい問題
では、日商簿記1級の試験出題範囲を整理してみましょう。
問題 | 内容 | 配点 |
第1問 | 商業簿記(財務諸表・試算表作成問題 等) | 25点 |
第2~4問 | 会計学(理論問題・個別論点計算問題 等) | 25点 |
第5問 | 工業簿記(差異分析・財務諸表作成問題 等) | 25点 |
第6問 | 原価計算(管理会計 等) | 25点 |
この中で簡単な問題、難しい問題は以下のようになります。
- 商業簿記問題
- 工業簿記・原価計算問題
簿記1級の問題を簡単なものと難しいものに一応分けてはみましたが、正直1級ともなると簡単な問題などほとんどありませんw
簡単な問題として取り上げた「商業簿記問題」についても、3級・2級と学習してきたことの応用編ということで、基礎知識がしっかりある前提での話なので、1級を学習するまでに商業簿記(財務諸表・試算表作成問題あたりは特に)はどんなイレギュラーな問題が出てもほぼパーフェクトに仕上げておきたいところです。
会計学の問題に関しては、「有価証券問題」の出題頻度が結構高いので、決して楽な問題ではないですが過去問をやり込んでおけば痛手は負わないはずです。
また、原価計算や工業簿記も2級からの応用問題になるわけですが、このあたりは1箇所間違えると芋づる式に間違ってしまう可能性も大いにある科目になるので注意が必要です。
1級に関しては他の級とは違った「足きり制度」というものがあり、各科目の点数が40%未満(10点未満)であれば、合計点が70点を超えていても不合格となってしまうため、どの科目に関しても部分点をちょくちょく拾っていくというのが攻略法になってきます。
このことからも、1つ間違えると大損害になってしまう原価計算と工業簿記に関しては特に入念に勉強をやり込んでおく必要があるといえるでしょう。
※逆に商業簿記と会計学は部分点が取れる可能性が高いです。
まとめ
上記で簿記検定各級における簡単な問題と難しい問題をご紹介してきましたが、もちろんこれは全員に当てはまるモノではありません。
管理人も一緒に簿記検定2級を勉強していた友人がいましたが、私が頭ちぎれそうなくらい工業簿記で悩んでいるときに、その友人はサラサラと工業簿記を解いていましたw
それぞれ得意な分野、不得意な分野というものもあるでしょうし、あくまでも目安と考えていただければいいかと思います。
とはいえ、管理人自身の体験と周りの意見、更に参考書の問題評価などを見ていても、大体の方が苦戦する問題というのは上記に挙げたような問題が多かったので、これから試験勉強をしていく際に参考としていただければと思います。
まずは一通り問題を解いてみて、自分が苦手とするところはドンドン勉強して穴をなくせるように頑張って下さいね!