簿記の講座を色々と調べておられる方だと、「教育訓練給付制度の指定講座」というものを見かけるかと思います。
この制度、ザックリいうと指定講座を受講すれば、合否に関わらず受講料の一定割合分が給付金として支給される制度です。
「え!じゃあ使わないと損じゃん!」と思われた方もおられるかと思いますが、この制度は誰もが利用できるものではありません。
そこでこの記事では、教育訓練給付制度の内容や対象者条件、申請方法などを分かりやすく解説していきたいと思います。
教育訓練給付制度の概略
まず、教育訓練給付制度は大きく分けて以下の3種類があります。
- 一般教育訓練給付金
- 特定一般教育訓練給付金
- 専門実践教育訓練給付金
それぞれどういった内容のものか、ざっくり見てみましょう。
働く方の主体的な能力開発の取り組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を図る目的とする給付制度
業務独占資格や名称独占資格、必置資格に関する養成課程、またはこれらの資格取得を訓練目標とする課程などを対象とする、雇用安定と再就職の促進を図る給付制度
働く方の中長期的なキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図る目的とする給付制度
ほぼ厚生労働省が発信している言葉通り抜き出したので少々ややこしいですが、つまりどの給付金も雇用の安定や再就職の促進を図る目的があるということですね。
目的が一緒なのになぜ3つに分かれてるかというと、資格によって専門性や難易度、受講にかかる一般的な金額が異なるのが理由です。
名前からも予想がつく通り、特定一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金の方が専門性が高いので、一般教育訓練給付金よりも給付の割合が高くなります。
給付金名 | 給付額 |
一般教育訓練給付金 | 教育訓練経費の20%相当 (上限10万円) |
特定一般教育訓練給付金 | 教育訓練経費の40%相当 (上限20万円) |
専門実践教育訓練給付金 | 教育訓練経費の50%相当 (上限120万円) |
細かく言うと専門実践教育訓練給付金なんかは更に割合がアップする条件とかもあるのですが、長くなりすぎるのここではで割愛しておきます。
で、簿記がどれに当てはまるかというと、残念ながら一番給付割合の少ない「一般教育訓練給付金」に該当します。まぁ残念ながらというのも変ですが(笑)
というわけで、以下からは簿記で指定講座がある一般教育訓練給付金について深堀りしていきます。
【あなたは当てはまる?】一般教育訓練給付金対象者の条件とは
先程も申し上げた通り、教育訓練給付制度は全員が対象になるというわけではありませんので、自分が条件に当てはまるかどうかを確認しておく必要があります。
厚生労働省のホームページにも長々文章で説明されてますが、ワケわからんのでフローチャートにまとめてみました。
対象者か分からない方はハローワークで調べてもらえる
- こんなもん見ても分からん!!
- 私かなり微妙なラインなんだけど。。
上記のような方は、ハローワークで対象者に当てはまるか調べてもらう事ができます。
ハローワークや資格学校などの教育訓練施設で配布している「教育訓練給付金支給要件照会票」に必要事項を記入し、照会者の住居管轄のハローワークに提出します。
(ハローワークHPからダウンロードも可)
提出方法は本人来所、代理人、郵送のいずれかで、提出後数日で照会結果が「教育訓練給付金支給要件回答書」で通知されてきます。
なお、電話での照会はトラブルの元になるということで受付不可となっております。
照会の方法 | 条件 |
本人が提出 | 本人・住所確認が出来る書類(運転免許証・住民票の写し・雇用保険受給資格者証・国民健康被保険者証・印鑑証書のいずれか)※いずれもコピー可 |
郵送で提出 | 「本人が提出」に記載した書類いずれかのコピー。原本は「住民票の写し」「印鑑証明書」のみ受付可。 |
代理人が提出 | 上記書類に加え委任状が必要 |
指定講座受講から給付金を受け取るまでの流れ
自分が給付金の対象で、指定講座を受講した場合、受講終了日の翌日から起算して1ヶ月以内に、受講者本人の住所を管轄するハローワークに下記の書類を提出する必要があります。
①教育訓練給付金支給申請書 |
教育訓練施設(受講している資格学校)より発行されます。 ※マイナンバーの記載が必要 |
②教育訓練修了証明書 |
教育訓練施設(受講している資格学校)より発行されます。 |
③領収書 |
受講者本人が納付した教育訓練経費について、訓練施設(資格学校)から発行されます。 |
④キャリアコンサルティングの費用 |
キャリアコンサルティングの費用の支給を申請する場合は、以下の資料が必要になります。
・キャリアコンサルティングの費用に係る領収書 |
⑤本人・住居所確認書類 |
申請者の本人確認と住居所確認を行うため、官公署が発行する証明書です。(運転免許証、マイナンバーカード、住民票の写し、雇用保険受給資格者証、国民健康保険被保険者証、印鑑証明書のいずれか) ※郵送の場合はコピー可 |
⑥個人番号(マイナンバー)確認書類 |
マイナンバーカード、通知カード、マイナンバーの記載のある住民票の写しのいずれかが必要です。 ※郵送の場合はコピー可 |
⑦身元(実在)確認書類 |
マイナンバーカード、運転免許証、官公署が発行する身分証明書・資格証明書(写真付き)などが必要です。 ※郵送の場合はコピー可 |
⑧返金明細書 |
領収書、クレジット契約証明書が発行された後で、教育訓練経費の一部が指定教育訓練実施者から本人に還付される(された)場合に、実施者が発行します。 |
⑨払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード |
教育訓練給付金支給申請書の「払渡希望金融機関」記載欄に金融機関の確認印欄がありますが、金融機関の確認を受けずに申請書と同時に申請者本人の名義の通帳またはキャッシュカードを提示しても問題ありません。 |
⑩教育訓練経費等確認書 |
ハローワークで記入するアンケート用紙のようなものです。 教育訓練経費等確認書見本 |東京労働局 |
上記の書類を揃えてハローワークに提出し、そこから大体1ヶ月以内に指定した口座に入金があります。
教育訓練給付制度指定の簿記講座一覧
教育訓練給付制度指定の簿記講座を、各資格学校毎に分けて一覧にしてみました。
通信講座、通学講座で分けてますので、ぜひ講座選びにご活用下さい!
補足2)こちらは2021年3月19日に更新しております。申込時期によっては最新情報ではない可能性もありますので、必ず公式サイト、または講座パンフレットを取り寄せてご確認ください。m(_ _)m
通信講座
通学講座
教育訓練給付制度に関するよくある質問・疑問をまとめてみました
教育訓練給付制度に関するよくある質問や疑問をいくつか抜粋してまとめてみました。
こちらもぜひご活用ください。
結構この心配をされてる方が多いようですが、基本的に自分で言ったりしない限りは会社にバレることはありません。
ただ、給付金申請する上で雇用保険の被保険者証が必要となるため、コレを紛失してしまっている場合は気を付けましょう。
会社に再発行してもらう必要があるため、そのタイミングで担当部署に不審に思われてつっこまれるという可能性もあります。
万全を期すなら、最寄りのハローワークで再発行してもらった方がいいですね。以下のモノを用意していけば発行してもらえます。
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)
- 印鑑
- 現在務めている会社の住所等の情報
- 返信用封筒(切手貼付) ※郵送の場合
- 委任状、代理人の本人確認書類 ※代理人来所の場合
取得方法としてはハローワークに直接来所(代理人可)と郵送がありますが、直接出向く方がおすすめです。
依頼したらその場で発行してもらえますし、内容に不備があってもその場で解決できます。(郵送だと再発行まで1~2週間かかることもあります)
この内容については本文中にもちらっと触れたのですが、教育訓練給付金の対象となるのは原則退職から1年以内の方です。
ただ、特例として妊娠や出産、育児、疾病、負傷等の理由で30日以上講座の受講を開始できない場合は、ハローワークに申請することで最大20年以内まで延長可能です。
延長適用のためには手続きも必要となるので、最寄りのハローワークに出向くか代理人に依頼する、または郵送で申請をしましょう。申請に必要なモノも載せておきますね。
- 教育訓練給付適用対象期間延長申請書(ハローワークにて配布)
- 印鑑
- 延長理由を証明する書類(医師の証明書など)
- 委任状、代理人の本人確認書類 ※代理人来所の場合
- 離職票-2または受給資格者証(基本手当に係る受給期間の延長を同時に行う場合)
職業訓練受講給付金は働いていない方を前提とした給付金制度ですが、教育訓練給付制度は現在働いている、もしくは辞めて1年未満の方が対象となっております。
条件が色々とあるのですが、以下のような給付を受けることができます。
- 職業訓練受講手当:月額10万円
- 通所手当:通所経路に応じた所定の額(上限額あり)
- 寄宿手当:月額10,700円
職業訓練受講給付金についての詳細は以下のページをご覧ください。
結論から言うと、失業保険との併用は可能です。
ただ、教育訓練給付金はどうしても受講料が先払いになってしまうため、失業中ということを考えると職業訓練校の方がおすすめです。もちろん簿記を学べるコースもあります。
テキスト代等以外は無償ですし、経済的にも余裕が出るはずです。
受験の有無や試験の合否は判断基準にはなりませんので、仮に不合格でも給付金は受け取れます。
ただし、講座は修了しているという条件は絶対です。
まとめ
この記事では、教育訓練給付制度の内容や対象者の条件、申請方法などについて解説してきました。
記事内でもご説明した通り、教育訓練給付制度は誰でも利用できるものではありません。
条件に当てはまる方は、受講料の20%(最大10万円)が給付されるので、利用しないと損です!!
少々手続きが面倒に感じるかもしれませんが、その分リターンも大きいので、ぜひ検討して下さい!
なお、日商簿記の教育訓練給付指定講座の料金や直近3年分の合格率をまとめた記事も本サイトでご用意しておりますので、参考にしていただければ幸いです^^